こんにちは、GIN(弟)です。
ギャンブル依存症の疑いがある人口は全国に70万~320万ほどに上ると言われています。
有名人や芸能人の方でもギャンブル依存症として知られている方がいらっしゃいます。
その中でも今回は元大相撲力士の「貴闘力」さんの事例を基にギャンブル依存症を、ギャンブル依存症がいる家族の視点から検証してみたいと思います。
【ギャンブル依存症】貴闘力のギャンブル依存症
「ギャンブルやってなきゃ横綱なれた」。しくじり先生に出演の貴闘力さん。ぶっちゃけトークの記事はこちらです。 – ウィズニュース https://t.co/nEA3QbDIOX #withnews #貴闘力 #しくじり先生 pic.twitter.com/21LkWLVSF3
— withnews (@withnewsjp) February 8, 2016
相撲ファンでなくとも一度はその名前を聞いた事があるでしょう、元大相撲関脇(横綱から3番目の地位)で、曙相手に7回も金星を獲得、2000年には幕内最下位で奇跡の12連勝を成し遂げ幕尻優勝を果たすなど輝かしい実績を残した力士です。
現在は焼肉店「焼肉本店ドラゴ」を経営されていたり、YouTubeチャンネル「貴闘力部屋」を運営されるなど、多方面で活躍されています。
その一方でギャンブル依存症を公表されている有名人としても知られていて、2016年の「しくじり先生」というTV番組に出演された際は広く世間を驚かせました。
貴闘力のしくじり先生、金がなくなるとしっかり稽古できて場所の成績がよかった、相撲も好きだから午前はしっかり稽古。関取で朝6時から土俵におりるのはみっちりという感じ。そこからのギャンブル生活が凄まじい。#貴闘力 pic.twitter.com/InlQkLl07A
— rock_is_dead11 (@rock_is_dead11) February 17, 2016
当時は日本でもカジノ(IR)法案関連が注目されている頃で、特に大きな衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。
GIN(弟)もちょうどリアルタイムで番組を見ていて、なるほどと納得する部分と約5億円とも言われるその損失の大きさや生活に与える影響の大きさについて驚愕したことをよく覚えています。
ギャンブル依存は数ある依存症や病気の中でもとにかくお金が掛かる(お金を消費する)と言われていますが、角界を代表する方で資産も大きい方という事で一般の感覚とはかけ離れていて現実味が無いようにも思えますが、実際にギャンブル依存症の家族を持つ身としては非常に恐怖を覚えると共に、番組を見ながら依存症の怖さを再確認しました。
【ギャンブル依存症】貴闘力の生い立ちと切っ掛け
福岡市博多区で生まれた貴闘力さんは、父親もギャンブル依存症だったと言われています。
ー生まれてから、ギャンブルは生活の一部、空気みたいだったね。賭け事好きなおやじのせいで、小さい頃は借金取りに追われ続けた。借金取りが家に来て、電話は鳴りっぱなし。電話を押し入れの布団の中に隠しても鳴り続ける。家に差し押さえのシールをばんばん貼られてね。取り立てから逃れるため、小学校は6~7回転校したよ。(一部抜粋:朝日新聞デジタル)
相撲部屋に入門したのも、父親と離れたい想いも一部あったと語っています。
入門後は稽古の時間が長く、一時期ギャンブルからは離れていたとの事。
ー部屋に入ったら3~4年は相撲漬けの生活。朝5時から昼の11時まで練習があって、それから筋トレとかいろいろして。若い衆の時は、練習よりも、その後の先輩からの用事の方が過酷。やっても先輩と夜に少しマージャンを囲むくらいだったよ。(一部抜粋:朝日新聞デジタル)
しかし直ぐに自身もギャンブルに足を踏み入れてしまいます。その切っ掛けとなったのが、「化粧まわし」です。
「化粧まわし」とは相撲で力士が土俵入の際着用する前垂(まえだれ)状のまわしの事です。
第73代横綱に昇進した、照ノ富士関の化粧まわしに、当館所蔵の横山大観「霊峰不二」の図柄が起用され、今日から始まる大相撲秋場所(9/12~26)で初披露されます。
新横綱の活躍に注目が集まっていますが、「一富士二鷹三茄子」と命名された縁起の良い化粧まわしにも、ぜひご注目ください。#足立美術館 pic.twitter.com/rmYbzXxGcO— 足立美術館 (@adachimuseum) September 12, 2021
ー十両昇進が決まると、後援会を作って、着物とか化粧まわしとかを作らないといけない。ほかの人は田舎に帰ってお金を集めてもらうんだけど、俺みたいに転々としてるやつに田舎なんてない。色んな人にお願いして400万円を集めたけど、預けた知人にお金を持ち逃げされたわけよ。ポケットには10万円だけ。つい大井競馬場(東京都品川区)に行って、知らない馬に全額を賭けたら、大当たり。400万円になった。そのお金で化粧まわしを作った。そっから人生が破滅していくよね。こつこつやっていこうと思っている人と比べて、人生の歯車が狂ってるの。おやじが嫌で「ギャンブルなんてやるもんか」って考えはあったけど、入ってもうたね。(一部抜粋:朝日新聞デジタル)
月給1万~2万円という新弟子時代に、先輩力士から「馬券を買ってこい」と言われ、中野から新宿までを歩いて買いに行った時のこと。貴闘力氏はタクシー代を浮かすため歩いたんですが、そのお金でギャンブルをやってみたところ、5000円が40万円になったのだとか。このビギナーズラックでのせいで、その後ありとあらゆるギャンブルにハマってしまったと語っています。
そしてそれ以降もギャンブル好きの力士に誘われるうちにギャンブルにハマっていったと語っています。
ここで個人的にポイントだと感じた部分は以下2点です。
- ビギナーズラック
- ギャンブル好きの力士(ギャンブル友達)
依存症は成功体験(貴闘力氏の場合はビギナーズラック)が強く印象に残ってしまい、負けた時・損した時の体験を忘れてしまいがちであると言われています。
ギャンブル依存に陥る人はその多くのケースで、過去の大勝を経験し、それが脳裏にやきついてしまい、いつか必ずその時の勝ちを再現して取り返せると考えます。
実際にKIN(兄)の口からも幾度となく「絶対に取り返す!」という言葉を耳にしています。例え万が一もう一度大きく勝てたとしても、ギャンブル依存症はギャンブル自体を辞める事が出来ないので、確率論的(期待値的)に間違いなくトータルで負ける事になるのですが、その部分を認識することが出来ません。
もう一つ、「ギャンブル仲間」と表現させて頂きましたが、ギャンブル依存症に陥る過程でこちらも高確率で登場してきます。
KIN(兄)のケースもご多分に漏れずギャンブル仲間という者が存在しました。本人がいくら辞めたいと言っても、友達から誘われたから、等と勝手な理由・口実を作ってしまう事で抜け出す機会を失ってしまうのです。
いわばギャンブル依存症の横のつながり、連携があることで依存症から抜け出せなくなっている状況をお互いで作ってしまっていると言えますし、これがギャンブル依存症の怖い部分でもあります。
【ギャンブル依存症】貴闘力の賭博経歴(つぎ込んだお金は5億)
貴闘力氏がギャンブルに足を踏み入れる切っ掛けをご紹介しましたので、次は賭博経歴をご紹介します。
午前中の稽古が終わると、ボートレースや競馬場へ。夜は麻雀、という生活を続けるうちに、貴闘力氏は、気が付けば競輪・競馬・カジノなど全てのギャンブルを制覇してしまっていました。
故・大鵬親方が何度も「頼むからやめてくれ」と言って借金を肩代わりしてくれましたが、34歳で現役引退して親方になってからも、貴闘力氏は大鵬親方を欺きギャンブルを続けていたそうです。
また番組で紹介されていたのが、オーストラリア巡業の時にカジノで5500万円勝ったことです。
ギャンブルをやる気満々で乗り込んだ貴闘力氏だったが、初日に1300万円負け、2日目に周囲から借りたお金の1200万円も負け、総額2500万円の借金を作ってしまう。しかし最後に付き人がお母さんのお土産用に持っていた5万円を取り上げて賭けたところ、これが大当たりしたそうです。
「5万円が10万円、10万円が20万円、20万円が40万円になり、100万、200万ってずっとはり続けたら、いつの間にか8000万だったんですよ」と、とんでもない大勝ちをしてしまったそう。
しかしこの勝利が忘れられず、結果的に「この何十倍も負ける」ことになってしまったと語っています。
ここまで来ると典型的なギャンブル依存街道の王道を歩んでいる、と言っても差し支えないでしょう。
また一般人よりも資産・資金が大きい分、そのインパクトや影響力が非常に大きいですね。
力士の仕事内容については詳しくないのですが、比較的時間に余裕がある印象なのでその点においてもギャンブルをする十分な時間があった、という点で依存症になり易い生活パターンであったと言えるかもしれません。
【ギャンブル依存症】貴闘力の生活への影響(相撲・家族)
こうして順調に!?ギャンブル依存が進んでいった貴闘力氏ですが、生活や家族など周囲との関係についても紹介されていました。
貴闘力氏は年収の9割をギャンブルにつぎ込み、引退後には野球賭博に手を染め、それがきっかけで離婚、相撲協会も解雇されてしまいました。
相撲協会をクビになり、大好きな相撲を失って自殺を考えるほどショックを受けましたが、それでもギャンブル依存症は治らなかったそうです。
貴闘力氏は、1994年に大鵬親方の三女・納谷美絵子と結婚し、婿養子となりました。その後、嫁との間には4人の息子が生まれましたが、2010年に野球賭博で相撲協会を解雇されてしまったため、大鵬親方の養子でいられないということで、嫁と相談の末に離婚しています。
本人だけでなく、家族も巻き添えにしながら皆がもれなく不幸になる病気が「ギャンブル依存症」であることを実感するエピソードです。
そのあとオープンした焼肉店では、店の売り上げをギャンブルに使ってしまい、従業員の給料が払えなくなったそうで、お金を工面するため、金融機関や知人の土下座して回った時、そんな自分自身に情けなくなりようやくギャンブルを断つことが出来たと語っています。
貴闘力は今でもギャンブルをやりたくてソワソワするそうです。しかし、「俺はギャンブル依存症じゃない。精神力で何とかなる」と、二度とギャンブルに溺れない意思を示しているそうです。
ギャンブル依存症を家族に持つ者の意見としては、本人の意思云々でどうにかなるレベルの依存症とそうでない依存症(簡単に言うと軽度か重度か)があって、ここまで来ると本人の意思だけでは改善は難しいような印象です。
周囲のサポートなどを含めた長期的な治療法が望まれる段階だと個人的には思いました。
【ギャンブル依存症】貴闘力に学ぶ改善・治療法
貴闘力氏が「しくじり先生」で語ったギャンブル依存解消法は、「無理矢理忙しくしてお金を持たないこと」と語っていました。
また「周囲は、同情して金を貸さないようにするべきだ」とも言っています。
貴闘力氏自身、十両に上がって新弟子が付くようになってから雑用が減り、暇になり、暇をもてあましてギャンブルの道に引きずり込まれていった経緯がありました。
他に熱中できるもの、時間を取られるもの、それを見つける事がギャンブル依存症改善の一助となるという考えは個人的にも賛成派ですし、「ギャンブル以外にどう時間を使うか」を考える事が非常に重要だと感じます。
また、自分は絶対に大丈夫と思いがちなのがギャンブル依存症の怖いところで、貴闘力氏も周囲に医者へ行くように勧められては、かたくなに「俺は病気じゃない」と言い張っていました。
これもギャンブル依存症あるあるの1つだと思いますし、他の病気、例えば認知症老人なども自分が認知症であることを認めないケースが多いと聞きます。
自分がギャンブル依存症である事を認めて、正面から病気に立ち向かう姿勢・態勢を作る事が治療に向けた第一歩だと感じています。ただこれは非常に難しく、KIN(兄)の場合、お金の使い込みが判明した時から15年の時を経ても自分の依存症を認識しているとは言い難い状況が続いています。
また、ギャンブル依存症も重症化すると、薬物中毒のような禁断症状が現れるそうで、貴闘力氏も不眠症・厳格・異常発汗・手の震えなどに悩まされ、なかなか離脱できなかったと語っています。
こういった身体的な症状が出ている場合は、医療機関の受診以外に改善の余地はありませんので、早めに病院へ行く事しか対策が無さそうです。
【ギャンブル依存症】貴闘力に対する世間の意見
同番組で広く知られることとなった貴闘力氏のギャンブル依存症ですが、世間はどう受け止めたのでしょうか。
SNSで世間の感想をまとめてみました。
貴闘力のしくじり先生、ギャンブル依存、地獄だ
— ごくも(円山恭子) (@gokumonto) February 8, 2016
貴闘力のしくじり先生
深刻過ぎて草も生えない
— じゅんいち@10/2甲子園 (@junichi10tigers) February 8, 2016
貴闘力のしくじり先生、オーストラリアのカジノで5万円を8000万にした話は桁違い、その前2晩で3500万負けているのでトータル4500万の勝ち。関取衆に借金して最後は付け人が自分のお母さんにバッグを買う為に取っていたお金を「東京帰ったらバッグ買ってやる」と取り上げた5万だった。
— rock_is_dead11 (@rock_is_dead11) February 18, 2016
やっと貴闘力の「しくじり先生」を見た。焼肉店の金に手を出して土下座して金を工面したって時期が、大仁田や曙とプロレスやってた時期に重なるな(笑)
— よっしー40 (@YossyNJPWLOVE) February 17, 2016
今、貴闘力さんが出た「しくじり先生」を録画で観ているのですが、他人のギャンブル依存症話は非常に面白い。しかし思い返してみればアタシも30代は週の半分はパチンコ屋に行っていたので、立派なギャンブル依存症だったと思う。しかし今はほぼ全くと言っていいほど言っていない。
— 須山浩継 (@suyamahakusyak) March 1, 2016
やはり金額が金額なので世間のインパクトも非常に大きく、TV番組としては成功したと思いますし、ギャンブル依存症の家族を持つ物としては、貴闘力氏本人も依存症が世間に知られることとなったのは良い機会になったのでは?と思います。
というのも、前述の通り、ギャンブル依存症患者は自らが依存症である事を認めない傾向が強いです。
一方で自らの依存を認める事が依存症治療の第一歩にもなりますので、ある意味では自らの決意表明でもあったのかな?という印象を持ちました。
また別の功罪として、有名人がギャンブル依存症をカミングアウトする事で、ギャンブル依存症が誰にでも起こりうることなんだという事実を広く世間に広める切っ掛けの1つにはなったのだろうと思います。
まとめ
ここまで貴闘力氏のギャンブル依存症についてご紹介してきました。
しくじり先生の番組最後で貴闘力氏は「負けても笑える金額にしよう」と明るく語りかけていましたが、ギャンブル依存症を家族に持つ物として、その言葉には非常に脆さというか危うさを内包しているような気がしてなりません。
いつまたギャンブルをやってしまうのか、その恐怖と一生戦っていく必要があるとも言える依存症。
貴闘力氏の事例・生き様を反面教師として各々が受け止めながらギャンブル依存症への向き合い方を考えていく必要があります。
↓ いつも応援クリックありがとうございます! ↓






コメントを残す