【ギャンブル】医師から学ぶ家族の会の後の講義
こんにちは、KIN(兄)、GIN(弟)の母です。
家族の会は参加者の現状報告の後、専門医からミニ講義を受けることができました。先生は日中多くの患者さんの診察を終えた後でさぞお疲れだろうと思います。正直その疲れが表情からありありと読み取れる時もありました。診察を終えて夕飯を召し上がる時間さえなく、夕方7時から2時間近く会に時間を割いてくださいました。重たい依存症家族の話に一緒に耳を傾けてくださった後、少しの休憩をはさんで、資料を配布して講義が始まります。慌ただしかったのか、時には休憩時間にコピーして暖かいままの資料をくださる時もありました。
以下に講義の概略を私なりに紹介させてください。
【ギャンブル】家族の行動指針 イネイブリングから脱せよ
1.「失う病気」
依存症とは失う病気である。健康を、金を、時間を、職場を、家庭を、友人を、信用を、心の平和を、 愛を、命を、経済感覚を、常識を、意識を失う。末は廃人となる病である。まずはそれを認識する。
2.イネイブリング(依存を支えてしまう事)
家族が依存症者の感じるべき痛みを取り去ってしまう行動をとりがちである。周囲が責任を肩代わりする結果、依存症者は依存から抜け出す機会を失い、家族は疲れ果てることになる。
3.手を放そう
依存症者は例えれば暴れ馬。馬をなだめようと必死で手綱を握ったまま馬に引きずられている。このままでは大怪我、でも怖くて手を離せない。それでも勇気を出して手を離せば地面に放り出されるが命は助かって大地に立てる。その後馬が走り疲れて止まり帰ってくるのを待つか、あるいは馬を探しに歩いて行くかすればいい。
暴走する馬には引きずられず、手を放す以外に解決はない。勇気を出して手を放そう。
4.家族が行動を変える
- 自分の生活に負担をかけてまで世話をすることを止める。
- 失敗の尻ぬぐいをして本人の体面を保つことをしない。
- 責めることはしない。 事情を伝え、自分の気持ちを話すようにする。
5.家族は率直にかかわる
- 世話を焼くのでも放任でもなく、相手に関心を持つ。
- 問題を処理するのではなくて見守る。
- 相手が落ち着いているときに気持ちを伝える。相手が痛みを感じていれば、心が動き、治療につながるチャンスが来る。
【ギャンブル】治療プログラムの12ステップ
アメリカの依存症学会が開発し、数多くの成果を上げているている依存症者のための12のステップがある。翻訳するだけだと分かりにくいので、超意訳で読もう。
- 私たち依存症(共依存)になっちゃったのね。そのために自分の思い通りに生きられなくなっちゃったんだわあ。
- でも自分よりもっと大きなパワーがあれば、健康が取り戻せるかもしれない。
- そんな力があるって信じてやってみよう。
- 一体自分のやり方のどこが間違っていたのかしら? 一覧表にしてみよう!
- 自分のことって、自分で見ているだけではよく分からないなぁ。正直に全部誰かに話して、一緒に見てもらおう。
- そっか~。どこが間違っていたのかよくわかったわぁ。やだやだ同じ間違いは繰り返したくない。
- 神様、私が謙虚になって誰かのせいじゃなく、自分に目を向けて自分を変えていけるよう勇気をください。
- よし! やると決めんだから、かつて独りよがりで傷つけちゃった人にちゃんと謝ろう!
- 電話とかメールとかラインじゃなく、まして心に思っただっけじゃなくて、ちゃんとあった謝ることができたぞ!
- これからも、相手も間違いをとやかく言うんじゃなくて、自分のことだけを見ていこう!
- 人間て弱いから、辛い事や悲しいことがあるとくじけそうになるよ~。でもさ、どんな時も神様や、仏様や、ご先祖様や、なんでもいい自分を助けてくれる大きなものが、導きを与えてくれてるんだって信じて、人生の出来事を受け入れて進んでいこう。
- 出来事をそのまんま受け入れ、じたばたしないで生きるようになったら、人生が開けてきた! すごい、これを皆に伝えたいし、これからもずっと実践していきたいなぁ。
- 以上の12ステップを書くのは簡単だが、実践するのに勇気がいる。今までなかった価値観で決断していかなければならなくなるから。しかし、自分の近視眼的な視野がどんどん広げられ、社会全体の福利と自分の意志が一致してくる。そうしていると自分のやりたいことが自然と他利的になり、自尊心も高まり、自由を感じられるようになる。
【ギャンブル】行動の方向が見えた
先生から教わる一言一言が私の中に浸みこむような思いでした。ギャンブル依存症について何も知らないまま対応に追われていた私に最も重要な、最も求めていた学びでした。
借金は返してはいけませんでした。必死で叱っても世話焼いてもKIN(兄)には響きません。KIN(兄)の心を落ち着かなくさせ一層ギャンブルに固執させることになるでしょう。KIN(兄)が落ち着いた時に私の気持ちを率直に伝えることが私にできる事だと知りました。もっと言えば私にできる限界を知らされました。家族の会の参加者たちの語る体験談はその裏付けになりました。幾度となく説教しても愚行を繰り返し続ける相手にこちらが参っていくようでは共倒れです。
告白します。その時私は倒れそうでした。仕事をしながらも職場の誰かに私がギャンブル共依存者であることがばれるのではないかとおびえていました。今まで通りの落ち着きを保っていなければけないと努めて平静を装っていました。今まで装うことが少なかったので気を張りました。多くのお客様と接する仕事だったので、人の目への恐怖を覚えました。
仕事を終え帰宅後慌ただしく夕食の準備をしながらも、KIN(兄)の帰宅が遅いのはまたスロットに向かっているからではないかと不安が頭をよぎります。 KIN(兄)が帰ればどう言えば、機嫌を損ねず本当のことが聞き出せるか悩みます。少しも食べた気がしない重苦しい食卓でした。私を全身で拒み、暗い顔をしたKIN(兄)の顔は長く一緒にいる私が初めて見る顔でした。
夕食後そそくさと自室にこもるKIN(兄)に掛けたい言葉を飲み込んで、眠れない夜を過ごしました。朝が来るのが待ち遠しくもあり、朝が来るのが怖くもある深い闇の中でした。そんな毎日を送る私にとってこれらの学習はありがたい救いになりました。少しだけ腹が座って向かうべき方向が見えたように思いました。まずは私が暴れ馬から降りて大地に足を付けようと思いました。大地はすぐそこにあるのだから。
【ギャンブル】暴れ馬から降りた 脱共依存
会社に知れ渡ったらその時行動を決めればいい、共依存者ということで今の会社にいられなくなったらそれまでだと覚悟を決めました。KIN(兄)と接するにも疑心暗鬼で矢継ぎ早に聞きたい言葉を自分から飲み込むようになりました。KIN(兄)の心を落ち着かせるためには親の私が落ち着かなくてはなりません。無理して平静を装うのではなくてKIN(兄)のために私のために心を落ち着かせるように努めました。
すると私を拒んでいたKIN(兄)の様子が少しずつ変わったきました。以前の明るさを取り戻し拒絶の態度が薄れていきます。私の態度がKIN(兄)を追い込んでいたのだと気づきました。
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